キノコ狩りと放射線2019/09/22

タマゴタケ
「狩り」と言うか、正確には「撮り」と表現したほうがいいんだけど、秋になると、なんだかゾワゾワして、機会を見つけては里山に入りキノコを探すことが趣味になっている。
 実家の大垣に居た頃は、いろんなキノコを採集して乾燥標本を作ったりしていたけれど、管理が難しく、結局カビだらけになって捨ざるを得なかったので、もっぱら写真を撮り溜めることにしている。
 今日も買い物ついでに三春ダム周辺の公園に入り、散策路脇で幾つかのキノコたちに出会ってきた。タマゴタケはよく見かけるけど、ホウキタケは珍しい。ハツタケ類は幾つかあったけど、既に時期が遅く腐り始めているものが多く、シーズンの終わりを告げていた。
 しばらく歩いていると、山菜採りの鎌を先端に付けた杖のようなもので地面をつついている御仁に会った。食べられそうなきのこを探しているとのことなんだけど、手当たり次第にキノコを倒していくので、お願いだから「刈るのは写真撮ってからにしてくれ」と頼み、談笑しながら散策することに。
 しかし、原発事故による放射性物質に汚染された山で、何の不安もないのだろうか?と余計な心配をしてしまった。 知人の話によれば、心配なので頂いたキノコを放射線量の検査したらとんでもなく高い値が出たということだった。それが今の福島では当然のことなのだ。何しろ山の除染などしてないし、キノコは土壌汚染と密接に関係しているはずだし、それを食そうとは普通思わないはずなのだが、気にしないのか?分かってないのか?キノコ狩りをする御仁に時々出会うのだ。
 国も県も震災からの復興を掲げて、避難解除にやっ気になっているけれど、実際は県土の大半を占める山林の除染などしてないわけで、県産のキノコは出荷できないことになっているはずだ。
なのに現実はこんな有様で、原発事故など無かったかのようにキノコ狩りをしてる人達がいる。去年も山で出会ったキノコ狩りのお婆ちゃんに「うめ~から、あんたも採ってけ〜」って声をかけられた。心の中で「近所に配るなよ、孫に食わせるなよ」と呟いていた。
 うまく纏まらないけど、不都合なことや嫌なことはさっさと忘れたいって願望によるのだろうか?原発事故による放射能汚染のことを住民自らが打ち消そうとしている様に思えて、何だかやりきれない気持ちになる。

僕は写真を撮るだけにするよ。

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