田舎暮らしの盲点2020/06/07

私が住む集落は、いわゆる行政分譲地である。町が過疎地域を造成し、新しいコミュニティ作りを提案する形で分譲したところである。販売時には、いずれは大字から独立させるという説明だったのだが、実情は未だに大字の一組でしか無い。移住して2-3年の頃にはこの問題を住民で議論もしたものだが、最古参の住民と大字との取り決めによって、独立分離を主張する意見がごく少数となり、やがて立ち消えとなってしまった。加えて町の方では少世帯数の行政区の統合はあっても分離はありえないといった空気になり、分譲担当者も次々と変わり、当初の分譲コンセプトが継承されず、とにかく空き区画を売ればいいというような姿勢に変わってしまった。
その結果、分譲初期の新しいコミュニティ作りを期待した他県からの移住者と、綺麗で広めの分譲地として選んだ近隣の転入者と、最後は原発事故により帰還できない避難者という構成になってしまった。
そもそも私の考えが甘かった。行政分譲地だからと安心していたのだが、民間の分譲地なら当然行われるはずの様々なサポート、とりわけ集落全体の環境管理などが全く一貫していない。悪く言えば売りっぱなしなのである。担当者も人事異動などでコロコロ変わり、地域活性化のために自ら誘致したという理念が正しく継承されず、結果住民間の軋轢のもとになっているような気がする。
行政は民間と違って倒産しないから安心と思っていたが、首長が変われば施策も変わるし、何より地方公務員である担当者が短期間に変わる。公務員らしく住民から言われれば動きもするが、自らは動かない。結局思い描いていたようなコミュニティーにはならなかった。
移住して20年ほどになるが、いろいろ諦めながら、状況に合わせて、とにかく角を立てずに、思いを抑えて生活している。なんとも息苦しい次第であるが、このところのコロナ・パンデミックを経験すると、感染者ゼロの山里暮らしも、安全面からすれば捨てたもんではないなあとも思うようになり、ここでもう暫く暮らしてみようかとも・・・。

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